2011年9月アーカイブ

相続税の計算方法

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質問
相続税ってどのように計算するのですか?
答え
相続税の計算は次のように大きく3つの区分に分けられます。
  1. 相続税の課税価額の合計額の計算
    相続・遺贈(遺言書による贈与)や相続時精算課税の適用によって財産を取得した人ごとに、相続税の課税価格を計算します。そして各人の課税価額を合計して、各人の課税価額の合計額を算出します。
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  3. 相続税の総額の計算
    次に各人の相続税の課税価格を合計して、基礎控除を差引き、課税遺産総額を計算します。そして、各相続人が課税遺産総額を法定相続分で相続したものとして、相続税の総額を計算します。
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  5. 各人の相続税額の計算
    相続税の総額を各人の財産の取得割合で按分し、それぞれの相続人ごとに各種税額控除・相続時精算課税分の贈与税額控除を行い、各人の納付すべき税額を算出します。
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具体的な相続税の計算例についてはQ「相続税の税率はどうなっていますか?」を参照ください。

相続税の税率

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質問
相続税の税率はどうなっていますか?
答え
Q「相続税ってどのように計算するのですか?」でも見たように、相続税を計算するにあたっては、課税遺産総額を各相続人が課税遺産総額を法定相続分で相続したものとして、税率を乗じて相続税の総額を計算します。
なお、課税資産総額を法定相続分で按分した金額を表中「法定相続分に応ずる各人の取得価額」といいます。

higu02.gif 【具体例】
父が亡くなり、相続人が母、長男、長女の3人である場合の各相続人の税額はいくらでしょうか? なお、各相続人が取得した財産の課税価額は、母9,000万円、長男18,000万円、長女3,000万円とし、各相続人の税額控除の金額はないものとします。
  1. 相続税の課税価額の合計額の計算
    ・課税価額の合計額
     9,000万円+18,000万円+3,000万円=30,000万円
  2. 相続税の総額の計算
    ・基礎控除額
     5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
    ・課税遺産総額
     30,000万円-8,000万円=22,000万円
    ・各相続人の法定相続分に応ずる金額
     母  22,000万円×1/2=11,000万円
     長男 22,000万円×1/4=5,500万円
     長女 22,000万円×1/4=5,500万円
    ・相続税の総額
     母  11,000万円×40%-1,700万円=2,700万円
     長男 5,500万円×30%- 700万円= 950万円
     長女 5,500万円×30%- 700万円= 950万円
     合計 2,700万円+950万円+950万円=4,600万円
  3. 各人の相続税額の計算
     母  4,600万円× 9,000万円/30,000万円=1,380万円
     長男 4,600万円×18,000万円/30,000万円=2,760万円
     長女 4,600万円× 3,000万円/30,000万円= 460万円
(平成23年6月30日現在の法令によります。)

質問

相続人が受け取った生命保険金の非課税制度について教えてください

答え

被相続人の死亡によって、相続人が受け取る生命保険契約の保険金や損害保険契約の保険金のうち、被相続人が負担した保険料に対応する部分の金額は相続税がかかりますが、それらの保険金の合計額のうち、「500万円×法定相続人の数」で計算した金額までは、相続税がかかりません。

なお、この場合の「法定相続人の数」には、相続を放棄した人がいる場合でもその放棄がなかったものとして計算します。ただし、その放棄した人はこの非課税の規定の適用を受けることができません。
また、被相続人に養子がいる場合には、実子がいる場合には養子のうち1人までを、実子がいない場合には養子のうち2人までを、法定相続人の数に含めることになります。
(平成23年6月30日現在の法令によります。)

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質問
相続税を申告しなければならない場合について教えてください
答え
課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超え、配偶者の税額軽減の適用がないものとして相続税額の計算を行った場合に納付すべき相続税額が算出される相続人・受遺者(遺言により財産を出区した者)は、相続税の申告書を提出しなければなりません。

この場合の課税価額の合計額は小規模宅地等の評価の特例などの相続税の課税価格の計算の特例を適用しないで計算した金額となります。

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(平成23年6月30日現在の法令によります。)
質問
相続税の申告書の提出期限について教えてください。
答え
相続税の申告書を提出しなければならない者は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告書を提出しなければなりません。

例えば、相続の開始があったことを知った日が「平成23年5月7日」であれば、その翌日から10ヶ月目は「平成24年3月7日」となります。

そして、10ヶ月目の日が土曜日、日曜日、祝日である場合には、その次の平日まで延長されます。
上記の例で言えば、「平成24年3月7日」が土曜日であるならば、提出期限は次の平日である「平成24年3月9日」までとなります。

相続税申告までの主な流れ

i8.gif (平成23年6月30日現在の法令によります。)
質問
相続税の申告期限までに遺産分割協議書がまとまらない場合にはどうなるのでしょうか?
答え
被相続人が予め遺言書を作成している場合には、その遺言書に従って遺産を分割します。
遺言書がない場合には、相続人間で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成して財産を分けることになります。

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内ですので、それまでに遺産の分割ができない場合であっても、相続税の申告書は提出しなければなりません。

この場合、遺産分割がされていない財産については、すべて法定相続分で分割したものとして申告をすることになります。しかも、遺産分割されていない資産は、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価の特例が適用できないこととなり、相続税が高くなります。

なお、相続税の申告書を提出した後に遺産の分割が終了した場合には、修正申告又は更正の請求をすることになります。

(平成23年6月30日現在の法令によります。)
質問
相続税を納められない場合はどうなるのですか?
答え
相続税の納付は申告期限と同じ、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に金銭で納付することが原則ですが、財産課税という側面があることから、金銭による納付が困難な場合には、相続税を分割して金銭で納付する「延納」や金銭ではなく金銭以外の財産で納付する「物納」という方法があります。

延納と物納

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連帯納付義務

相続税の納付は、原則として相続等により財産を取得した者がそれぞれ納付義務を負っていますが、相続税法では負担の公平や相続税の確保の見地から、共同相続人相互間などの一定の者の間において、互いに連帯して納付する義務を負わせています。

延納

上記のとおり、相続税の申告期限までに金銭によって相続税の全額が納付困難な場合で、下記の要件を満たすときは年賦延納による分割納付が認められています。ただし、延納期間は申告する財産の内容により最大20年に定められており、またその期間については利子税もかかります。

※延納ができる場合
  • 相続税額が10万円を超える場合
  • 納期限までに、又は納付すべき日に金銭を納付することが困難であること
  • 担保(公社債、有価証券、不動産、人的保証など)を提供すること
  • 相続税の納期限又は納付すべき日までに延納申請書を提出すること

物納

国税は原則金銭で納付することを前提としており、相続税も同様に金銭納付が原則としています。しかし、相続税は財産課税という性格もありますので、延納の他にも、下記の要件を満たす場合には、相続財産で納付を行うことが認められています。ただし延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限られます。

※物納ができる場合
  • 延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
  • 物納申請財産が定められた種類の財産で申請順位によっていること
  • 申請書及び物納手続関係書類を期限までに提出すること
  • 物納申請財産が物納適格財産であること
(平成23年6月30日現在の法令によります。)

相続対策について

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質問
相続対策ってどうすればいいですか?
答え
相続税対策といった場合、相続税の節税はもちろんのこと、納税資金の確保や「争族」対策といった対策も必要となります。

しかし、その3つの中で一番重要視すべきなのは、「争族」対策となります。次に納税資金の確保、そして最後に節税対策となります。 節税対策ばかり目が行きがちですが、長期的な視野に立った上で、納税資金を準備し、「争族」対策を行うことが大変重要です。

相続対策のまとめ

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「争族」対策のポイント

相続で揉めないように予め遺言書などで、財産について誰に何を渡すかを決めておくことが必要です。なお、遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言などがありますが、作成にあたっては相続人が最低限もらうべき財産の割合、つまり遺留分に注意することが必要です。

納税資金の確保のポイント

相続税は原則現金納付ですので、納税資金を預貯金で準備する必要があります。預貯金が不足する場合には、生命保険金や死亡退職金などを検討する必要があります。
また、納税資金が確保できない場合には、後述する延納や物納も検討します。

節税対策のポイント

相続税の節税行うためには、①相続財産の減少、②債務控除の拡大、③基礎控除の拡大、の3つありますが、これら組み合わせて節税効果を高めることと、相続後も相続した財産を有効利用し続けることができるように検討すべきです。
質問
暦年課税の贈与税の計算はどうやってするのですか?
答え
贈与税は、個人からの贈与により財産を取得した方にかかる税金です。贈与税には暦年課税の贈与税と相続時精算課税制度による贈与税の2つがありますが、ここでは暦年課税の贈与税について説明いたします。

暦年課税の贈与税は相続税を補完する税金と言われています。それは多額の生前贈与を行うことで相続税を免れることを防止するために、暦年課税の贈与税は相続税よりも税率が高くなっています。

暦年課税の贈与税は次のように計算します。

暦年課税の贈与税の計算方法

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暦年課税の贈与税の計算方法

基礎控除、配偶者控除後の課税価額 税率 控除j額
 200万円以下 10% -
 300万円以下 15% 10万円
 400万円以下 20% 25万円
 600万円以下 30% 65万円
 1,000万円以下 40% 125万円
 1,000万円超 50% 225万円

暦年課税の贈与税の申告期限

贈与を受けた方は、その贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を税務署に提出しなければなりません。

(平成23年6月30日現在の法令によります。)
質問
小規模宅地等の評価の特例とは何でしょうか?
答え
被相続人が所有していた宅地で、その土地の上に被相続人の事業や居住の用に使われていた建物がある場合に、相続人等がその土地を相続・遺贈などにより取得した場合には、一定の部分の面積について、その土地の評価額の8割(不動産賃貸業の場合には5割)が減額されます。

小規模宅地等の評価の特例制度の概要

i6.gif つまり、被相続人が住んでいる自宅の敷地の評価額が1億円で、この小規模宅地等の評価の特例を適用した場合には、その評価額は8割減の2,000万円となります。 なお、この小規模宅地の評価の特例の適用を受けるためには、その適用を受ける対象の土地について、遺産分割を行い、申告期限までに相続税の申告書を提出する必要があります。 (平成23年6月30日現在の法令によります。)

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