2012年5月アーカイブ

相続時精算課税制度

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質問
相続時精算課税制度について教えてください
答え
平成15年より財産の贈与を受けた方は、一定の要件に該当する場合に限り、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後相続時にその贈与財産と相続財産を合算して相続税を計算し、その相続税から贈与時の支払った贈与税を差し引くことにより、贈与・相続を通じて納税ができる相続時精算課税制度の適用が受けられます。

なお一度、相続時精算課税制度の適用を受けてしまうと、以後暦年課税の贈与税の適用が受けられなくなります。

相続時精算課税制度の贈与の条件

i12.gif 贈与をする方(贈与者) → 贈与をした年の1月1日において、65歳以上である者
贈与を受ける方(受贈者) → 贈与者の子供(推定相続人である直系卑属)で、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者

相続時精算課税制度による贈与税の計算

i13.gif この場合の特別控除額は累計ですので、相続時精算課税制度による贈与が2,500万円に達するまで使用できます。

相続時精算課税制度による贈与税の申告期限

相続時精算課税制度による贈与を受けた方は、その贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、「相続時精算課税制度選択届出書」を贈与税の申告書に添付をして、税務署に提出しなければなりません。

(平成23年6月30日現在の法令によります。)

質問
事業承継にはどのような方法がありますか、どのように決定すればよいですか?


答え
各承継方法を比較し、メリット・デメリットを把握した上で、自社に合った承継方法を慎重に選択しましょう。


1. 親族内承継


近年比率は低下しているものの、親族内承継は、同族経営が多い中小企業においては最も多い承継のパターンです。


【メリット】

  • 従業員や取引先等内外の関係者から受け入れられやすい。
  • 早期に後継者を決定すれば後継者教育がしっかり行える。
  • 株式や事業用資産の移転がスムーズに行える。
  • 承継時期を柔軟に決定でき、長期の準備期間を確保することができる。
  • 他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い。

【デメリット】

  • 親族内に経営者としての資質を持つ者がいない場合がある。
  • 後継者にしたい者がいても本人に事業を継ぐ意思がない。
  • 相続人が複数いる場合、株式・事業用資産の後継者への集中が困難になる。

2.外部からの雇い入れ・従業員等への承継


親族外への承継のうち多くを占める承継方法です。「自社の社員、従業員の昇格」と「社外からの有能な人物の招聘」の2つが代表的な例として挙げられます。


【メリット】

  • 会社の内外から広く候補者を求めることができる。
  • 従業員に継承する場合は、社内からの反発が少ない。
  • 社内文化が大きく変わることはない為、承継後、事業に支障がでることが少ない。
  • 社内の業務に精通している従業員に承継させる場合、業務の引き継ぎがスムーズに行く。


【デメリット】

  • 個人債務保証の引き継ぎが困難。
  • 親族継承と比べて、関係者の理解により多くの時間がかかる場合がある。
  • 後継者候補に現オーナー経営者が保有する株式を買い取る資力が無い場合が多い。
  • 後継者の抜擢、昇進に関係者の理解が得られなければ、反発を招く恐れがある。


3.M&A


M&Aとは"Mergers(合併)and Acquisitions(買収)"の略で、企業の合併・買収のことを言います。最近では、事業承継の方法として積極的にM&Aを活用するケースが増えています。


【メリット】

  • 現経営者が会社売却の利益を獲得できる。
  • 現経営者は経営責任の重圧から解放される。
  • 後継者不在でも会社を存続させ、従業員の雇用確保を図ることができる。

【デメリット】
  • 希望条件を満たす買い手を見つけるのが困難。
  • 第三者が経営者となる為、企業文化、経営理念の承継が困難。
  • 経営者自身、従業員が心理的抵抗感を感じる場合がある。

質問

古参社員が後継者と対立するのを事前に防ぐには?

答え

古参社員が後継者と対立し、会社経営に支障をもたらすケースは比較的多く見られます。


たとえば、先代経営者が強烈なカリスマ性をもった経営者であり、古参社員も先代経営者のカリスマ性があったからこそ、先代経営者のために尽力してきたというような場合です。



このように先代経営者に強い信頼を有している古参社員がいる場合、先代経営者が引退して後継者に経営を移行していく過程で、後継者のサポートや古参社員の立ち位置について、懇切丁寧に説明し、理解を得る必要があります。
そういた説明や理解を得る努力なく、いきなり、「今度は○○が後継者だからよろしく」といった簡単な形で承継を進めていこうとすると、古参社員の反感を買い、後継者による新体制経営に支障を及ぼす可能性があります。特に、その古参社員が、他の社員からの信頼も厚いというような場合は、他の社員も古参社員の側につき、周囲に味方がいないといった状況も考えられます。

このようにならないために、先代としては、次のような対策を考える必要があるでしょう。


ア. 後継者選定の過程、選定の理由、後継者の経営理念、後継者による新経営体制の中身等について丁寧に説明し理解を求める。
イ. 後継者による新体制の支障とならないよう人事異動を行う。古参社員のこれまでの実績や経験にも十分配慮した人事異動であることも説明する。
ウ. 古参社員が高齢の場合には、先代と一緒に引退をしてもらう。場合によっては、退職金など相応の待遇も考える。


対策を講じるにあたっては、古参社員の共感や納得を得られるよう誠意をもって実行することが最も大切です。
なお、人事異動や引退を促す際に、労働条件・退職条件などでトラブルが予測される場合には早い段階から専門家に相談することをおすすめします。





スライド10.GIF



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