2012年9月アーカイブ

質問

自社の株価を引き下げるポイントについて教えてください

答え

Q「株式の評価方法について教えてください」でみた税務上の非上場株式の株価の算定方法は、相続税・贈与税の申告に使用されるだけでなく、後継者や親族への株式の売買価格にも使われます。

したがって、自社の株価が低ければ低いほど相続税・贈与税が節税できますし、また自社株の売買をするにあたっても売買価格も廉価となりますので、なるべく低評価であることが事業承継を進める上においても望ましいと思われます。

以下は株価を引き下げることのできる対策の例です。

 ・ 低額配当を行い、類似業種比準株価を引き下げる
 ・ 役員退職金の支給を行い、当期利益(所得金額)を低くさせる
 ・ 会社で所有している土地を有効利用して、土地の評価額を下げる
 ・ 生命保険契約等を活用して、会社の内部留保を減少させる
 ・ 中小企業投資育成会社の出資を受けて、株主構成を変更させる
 ・ 従業員持株会制度を活用して、株主構成を変更させる

しかし、株価は会社の業績や上場株式の株価に連動して上昇・下降をしますので、上記のような対策を実行して株価を引き下げた後に、速やかに自社株を後継者や親族に移すべきです。
そのため、事前に支払う税金をなるべく抑え、効率的に事業承継を行うようなタックスプランニングを作成しておくことが大変重要です。

なお、株価の引き下げ対策前に、自社の株主構成や業種、規模、資産構成などを確認・見直しておかないと、折角の株価引き下げ対策もあまり効果を生み出しませんので、注意が必要です

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退職金の活用

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質問
 専務の次男を後継者にして次男に事業を承継しようと考えておりますが、そうすると、サラリーマンをしている長男と経営に関与していない妻に遺す財産がありません。
 長男と妻に財産を遺すにはどうしたらよいでしょうか?
答え
 退職金の活用を考えてみましょう。

 あなたの引退あるいは死亡に伴う退職金を、後継者以外の相続人(候補者)である妻や長男に遺す資産として活用します。
 引退に伴う退職金については、生前に受け取るわけですから、長男や妻に遺すためには、相続開始まで費消しないように注意しなければなりません。

 死亡に伴う退職金については、妻や長男が一時金として受け取るか、分割払いで受け取るか、あるいは年金式とするか、会社の将来の経営状況や妻や長男の生活状況に応じて適切な方法をとるとよいでしょう。
 一時金の場合は、会社の資金繰りに影響してきますので、会社としては分割払いという方向で考えたいところもあるでしょう。
 他方、受け取る側の妻や長男からすれば、長期の分割は、将来の不払リスクを背負うことになりますので、一時金でもらいたいという場合もあるでしょう。
 この点は、後になって家族間でもめないよう、全員でよく話し合っておく必要があるでしょう。


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質問
 当社が研究し開発した技術・ノウハウは、当社独自のもので、一般には普及しておりません。
 この技術・ノウハウが、当社における事業遂行・事業拡大には必要不可欠ですが、事業承継にあたり、何かケアしておくべきことはあるのでしょうか。
答え
  その技術やノウハウが権利化できるものかどうか、権利化できるものだとして、それに必要な手続き(特許権・実用新案権・意匠権の出願など)は済んでいるかをチェックする必要があります。
 また、事業に必要不可欠な独自のノウハウや技術ということであれば、社外に漏れないような秘密保持管理体制ができているか(従業員や委託先等との間で秘密保持契約の締結等はできているか)などのチェックも必要でしょう。事業承継に伴い、方向性の合わない従業員が退職していくことも考えられますから、退職従業員に対する秘密保持も検討しなければなりません。
  大事な技術やノウハウに関する権利を先に第三者に取得されたり、あるいは、第三者による権利侵害を防御できないといった事態、あるいは、技術やノウハウの漏洩といった事態を防止するため、事業承継前に、技術やノウハウなどの無形資産について、権利化の有無や秘密保持体制等を専門家とともに検討することが重要でしょう。
  もちろん、既に取得している権利が第三者から侵害されていないか、取得したはずの権利が失効していないかなどのチェックも必要でしょう。


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