2012年12月アーカイブ

質問

後継ぎの立場から見た、親族内承継の注意点は?

答え

次代の経営を担う立場として、バランスよく社内外への関心を持ちましょう。

親族内承継の典型的なパターンは、後継者(息子)が社長(父親)と同じ会社で、従業員として働いているような場合でしょう。 このような場合、実際の事業承継の事例では、後継者の意識や行動に改善が必要なケースがあります。 なかでも最近目立つのは、必要な改善が、社長が何かを言ったりやらせたりすべき、というよりも、後継者自身が自覚して取り組むべき内容であるケースです。

ケースの類型を幾つかあげながら、後継者として気をつけるべき点を見てみましょう。
  • 後継者は、従業員として有能なだけでなく、主体的に経営に参加しているか?
    ここで問題になるのは、比較的小規模な会社において、後継者が早くから社長の下で働いていて、勤務年数が長い割には、経営者としてのスキルが(後継者の)身についていない、といったケースです。
    次期経営者として、現場を理解することは重要ですが、後継者の果たすべき役割は、現場の作業をこなすメンバーとして一人前になることではなく、10年、20年先に向けて解決すべき経営課題に取り組んで、会社を将来も存続・発展させることです。
    「日々の業務が忙しいからムリ」で終わらせずに、自社の経営を自分の課題として考え、自分から関与していくようにしましょう。
  • 後継者は、気が向くことばかりに目を向けないで、会社全体をよく見ているか?
    ここで問題になるのは、例えば、ITに強い後継者が、顧客への営業活動に無関心だったり、新規事業を任された後継者が、既存事業部門と疎遠だったり、後継者の関心が、得意な業務や気の合う従業員などに偏っている、といったケースです。
    企業経営は、様々な経営要素のバランスを取りながら進める必要があるため、関心が偏ったまま経営を任された後継者には、適切な意思決定ができない恐れがありますし、後継者の関心が薄い・ない経営要素が、事実上放置されることが、深刻な経営問題に発展する可能性もあります。
    経営者は、経営に必要であれば、気が向かないことにも目を向ける必要があります。 後継者のうちから、会社全体に関心を持つようにしましょう。
  • 後継者は、積極的に社外に出て、自分自身や会社を成長させる芽(眼)を育てているか?
    ここで問題になるのは、社長(現経営者)が非常に社交的であったり、地域の名士など社外への影響力が強かったりする場合で、後継者が、会社からもらった「次期社長」という殻をまとってしまい、会社(社長)の影響力があってできたことを、自分の力で成し遂げたと勘違いする、といったケースです。
    後継者として、社外で経験で積むことの重要性は、よく指摘されている通りです。 ここで、会社(現経営者)の配慮によって、社外で経験を積んだ場合、どうしても後継者に対する有形無形の気配りや先入観が周囲に生じるでしょう。 
    例えば、現在の会社の事業とは直接関係のない業界や職種の人たちと交流する場へ、自分の意思で飛び込だり、単なる一社会人として同世代の(あるいはより若い)人達と接したりすることで、自分自身はもちろん、会社が今後成長するための気づき(きっかけ)を得ることができます。 積極的に社外へ出ましょう。
ところで、同じ親族内承継でも、最近会社に加わった親族などの場合は、むしろ、社外から加わった後継者としての注意が必要です。(これについては、別の項で説明します)

後継者自身による「後継ぎ育成」のポイント

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