後継ぎを従業員の中から選ぶ時に、候補者が複数いて一人に絞れない、というケースがあります。 多くの場合、候補者の資質に甲乙がつけ難い、というのが理由ですが、果たして、このような場合にはどうすべきでしょう?
結論を出す前に、少しまわり道をして、親族に承継する場合を考えてみましょう。
後継ぎとして、従業員よりも親族、特に息子(娘)を選ぶことは、(割合は年々低下していますが)未だに一般的だと言えます。 ではこの場合、社長の息子(娘)が、既存の従業員の誰よりも、後継ぎとしての資質を備えているか、と言えば、必ずしもそうだとは言えません。
身も蓋もない話をすれば、社長の息子(娘)が、後継ぎとしての資質に欠けることは、大変よくあることなのです。 それにも関わらず、息子(娘)を後継ぎにした方がうまくいく場合が多いのです。 どうしてでしょう?
これには幾つか理由が考えられますが、利害関係者の納得が得られやすいことは、大きな理由としてあげられます。 優秀な政治家(?)でも、支持率が下がれば立ち行かないのと同様に、社長も、周囲の支持があって初めて、企業の経営者として力をふるえるのです。
では、話を元に戻して、複数の後継ぎ候補(従業員)から一人を選ぶ場合を考えてみましょう。 前述の通り、各人の資質には大きな差がありません。 そこで、それぞれの候補が後継ぎになった場合の利害関係者の反応を想像してみましょう。
もちろん、納得を得るためには、社長の丁寧な説明が欠かせません。 特に、他の株主や親族(株主でなくても)に対しては、親族内に後継ぎ候補がいないこと、従業員から後継ぎを選ぶこと、等を含めて、きちんと説明して納得を得ることが不可欠です。
丁寧な説明をする上でも、他の株主や親族、取引先に受け入れられやすい人物、承継後に社内(従業員)が混乱する恐れが最も少ない人物を、後継ぎにした方が良いでしょう。
カテゴリー:STEP2 候補者選び・後継者育成