役員退職金については、役員自身が退職金の決定に関与でき、また一般的に高額になる場合が多くなり、いわゆるお手盛りになりがちです。課税当局も役員退職金の支給については税務調査においてよく調べる項目の一つですので、否認をされないように細心の注意を払うようにしましょう。
支給した役員退職金が否認されないために、税務上注意すべき点は以下のとおりです
① 役員退職金規定を整備する
役員退職金を支給する前に役員退職金規定を整備し、それに従って支給額を決定してください。当然ですが具体的な支給額がキチンと計算できるように決めておきましょう。
一般的には、役員退職金=最終報酬月額×在職年数×功績倍率 の算式で計算している場合が多いようです。
② 役員退職金が過大とならないようにする
税法上、業務に従事した期間、退職の事情、同業種・同規模の会社の支給状況に照らして不相当に高額である場合には、その高額と認められる部分の金額は損金(経費)となりません。
なお、上記の算式にある功績倍率は、昭和55年5月の東京地裁の判決によれば、社長=3.0、専務=2.4、常務=2.2、平取締役=1.8、監査役=1.6が妥当とされています。
③ 株主総会等で役員退職金支給のための決議を行う
役員退職金を支給するためには、株主総会・取締役会の決議が必要となります。したがって、役員退職金を決議した内容の議事録を作成し、証拠として残しておく必要があります。
④ 退職後は経営の第一線から身を引く
当たり前の話ですが、役員を退職して退職金をもらったのですから、退職により実際に経営の第一線から身を引かなければなりません。したがって、退職しても経営の都合上、止むを得ず会社に残る場合には注意が必要です。
なお、退職をしなくとも支給した役員退職金が損金(経費)になる場合があります。詳しくは
Q「役員の分掌変更等の場合の退職金について」を参照ください。
さて、役員が死亡により退職した場合には、
Q「死亡退職金等の非課税」でも説明したように、一定の弔慰金を支給した場合には、支給した金額は会社で損金(経費)となります。